
ぶっちゃけどうなの? スポーツキャンプのリアル
2026年9月11日
ぶっちゃけどうなの? スポーツキャンプのリアル
2026年9月11日(金)、ふれあいプラザなのはな館にて、スポーツキャンプ受入の現状共有イベントを開催しました。
タイトルは、あえて率直に。「ぶっちゃけどうなの? スポーツキャンプのリアル」――サブタイトルは「本当に旨味はある?」から始める、指宿の新しいおもてなしです。
スポーツキャンプの受入は、地域にとって良いことばかりに語られがちです。しかし実際には、客室のタイプ、食事、洗濯、雨天時の練習環境、人員配置……クリアすべき条件がいくつも重なります。だからこそ今回は、成功談だけでなく、現場の苦労も収益の実態も含めて、そのまま共有する場をつくりました。
オープニング/SCIからの現状共有
SCI会長・福岡亮一の開会挨拶で、2時間のプログラムがスタートしました。
続いてSCIから、指宿の受入の現状を共有しました。お伝えしたかったのは、次の2点です。
- 指宿では、すでにキャンプ受入は行われている。WEリーグ(サンフレッチェ広島レジーナ)、大学・社会人野球、陸上長距離など、受入実績は積み上がっています。
- それでも、拾いきれていない機会が確実にある。問い合わせはあるのに、条件が整わず受入に至らないケースが生じています。
実際に受入に至らなかった事例も、そのままご紹介しました。女子ソフトボールの実業団チームは雨天時の練習場が確保できず他地域へ。ラグビーのキャンプはウェイトトレーニング施設がネックに。プロサッカーチームからは3食ビュッフェ対応を求められることもあります。
受入のボトルネックは、宿泊だけでも競技施設だけでもなく、宿泊・施設・雨天対応・トレーニング環境・食事対応が重なり合っている——これが、今回の出発点となる現状認識でした。
第1部 ゲスト講演「プロスポーツキャンプ受入のリアル」
第1部は、株式会社さつまゴルフリゾート 神原総支配人によるゲスト講演。市外でプロスポーツキャンプの受入実績を重ねてこられた立場から、経営の実態を率直にお話しいただきました。
冒頭の一言は、「正直、儲かります」。キャンプ受入は閑散期をしのぐための消極的な選択ではなく、収益事業として十分に成立する——具体的な経営数値を挙げながら、そう示していただきました。(数値は事業者様の経営情報にあたるため、本記事では割愛します)
ただし、「受け入れれば儲かる」という話ではありませんでした。客室と食事に加え、グラウンドやランドリーといった付帯収入を組み合わせた収益の設計。そして、食材の管理から客室の運用、人員の配置に至るまで、チーム受入に合わせて一つひとつ最適化を積み重ねること。儲かる形に作り込んでいるからこそ成立している、というお話です。
さらに、Jリーグの秋春制移行によって6〜7月が新たな狙い目になること、そして施設単独では誘致は動かず、県・市町村・地域の連携が不可欠であることを、強く指摘いただきました。
第2部 指宿の先行事例パネルディスカッション
第2部は、指宿市内で実際に受入を続けてこられた指宿こころの宿様・休暇村指宿様に、第1部に続いてさつまゴルフリゾート様も加わっての本音トーク。SCIがファシリテーターを務めました。
約40年の受入実績を持つ休暇村指宿様、WEリーグから社会人陸上まで幅広く受け入れてこられた指宿こころの宿様。用意した6テーマのうち、時間の都合で取り上げられたのは次の5つ。いずれも現場に踏み込んだ議論となりました。
- 「旨味」の実態と成立条件
- 現場の工夫と苦労(洗濯・食事・清掃・ケア室)
- ターゲット戦略——指宿はどの層と相性が良いのか
- 連携の現実と課題——県・市・施設の役割分担
- ハード面の限界と打開策(雨天練習場・ウェイト施設)
同じ「スポーツキャンプ受入」でも、施設の規模、ターゲット、時期、付帯収入の有無、一般のお客様とのすみ分けによって、見える“旨味”はかなり違う。そして受入は気合いだけでは続かず、食事・洗濯・清掃・人員配置をいかに無理なく回すかが鍵になる。そんな共通認識が浮かび上がりました。
第3部 個人ワーク&雑談「で、ウチならどうする?」
休憩をはさんで第3部は、「ぶっちゃけチェックシート」を使った個人ワーク。聞いた話を“自分ごと”に引き寄せて整理していただく時間です。
この時間は、ただ静かに書いていただくのではなく、SCIスタッフと登壇者が会場内を回り、その場で質疑に応じる形式としました。「こういう場合はどう考えたらいいのか」「これは現実的にできるのか」——小さな相談タイムのような時間になりました。
クロージング:指宿の「新しいおもてなし」へ
クロージングでは、この日見えてきたことを3点に整理しました。
- 確かに「旨味」はある。閑散期の稼働、食事・会議室・ランドリー等の付帯収益、継続利用へのつながり。
- ただし、条件が重なって初めて成り立つ。宿泊、食事、洗濯、移動、ケア、練習環境、雨天対応。
- 施設単独では完結しない。宿泊、飲食、交通、地域店舗、体験、特産品、情報発信——地域の中で少しずつ役割を持ち合う形へ。
最後に、ご参加いただいた近畿日本ツーリスト株式会社 執行役員 スポーツ・ウエルネス事業部長 沼野晴之様より、まとめのお言葉を頂戴しました。プログラムには予定していなかった一幕です。
全国の様々な状況や事例をご覧になってきたお立場から、いただいたのは「その土地ならでは」「そこである意味」を伸ばすべきだという視点でした。他と同じ条件で張り合うのではなく、その地域にしかない価値をこそ磨く——指宿の受入を考えるうえで、この日の議論を締めくくるにふさわしいお話でした。
参加者の声
終了後のアンケートでは、ご回答いただいた全員が「満足」以上と評価してくださいました。「指宿の現状理解に役立った」との回答も全員から。特に参考になった内容としては、さつまゴルフリゾート様の講演と指宿の先行事例パネルディスカッションが並んで最多となりました。
「スポーツキャンプ受入に対する見方は変わったか」という設問には、この設問にお答えいただいた8名のうち7名が「前向きになった」「少し前向きになった」と回答してくださいました。
大変参考になりました。前向きに検討いたします。
東京から移住してきました。指宿のようなこんな素晴らしい場所はないと思います。東京から何人も遊びに来て、みんな感動して帰っていきます。リピーターになってくれています。
そして今後の検討会・意見交換会については、ご回答いただいた全員が「参加したい」「内容次第で参加したい」とお答えくださり、「見送りたい」は0件でした。チェックシートには「引き続きの情報提供・共有・サポートを期待したい」「整備が先に進めば受け入れやすくなる」といった、具体的なご意見も寄せられています。
ここから、次の一歩へ
今回のゴールは、この場で結論を出すことではありませんでした。大切なのは、ここから先の具体的な検討につなげることです。
SCIでは、今回いただいた気づきと課題をもとに、次回の検討会に向けて準備を進めてまいります。
- 受入要件の整理と役割分担——「指宿らしい」受入フォーマットと分担体制の構築
- 価格・メニュー設計——施設や地域の強みを活かしたパッケージと適正価格の検討
- 情報共有の仕組みと実証受入——タイムリーな連携体制づくりと、小さく始めるパイロット受入
ご登壇いただいた株式会社さつまゴルフリゾート様、指宿こころの宿様、休暇村指宿様、そしてご参加いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
今日の「ぶっちゃけ」を、この場だけで終わらせず、指宿らしい次の一歩につなげてまいります。スポーツキャンプの受入に「関われるかもしれない」と少しでも感じてくださった方は、ぜひSCIまでお声がけください。